ウィニングショット プラズマ加工ストリング 開発記 その3

ウィニングショットは、大手釣り糸メーカー「サンライン」が持つ
大気圧低温プラズマを使った加工技術「Plasma Rise」を、世界で初めて、テニス・ストリングに取り入れるべく、2018年から試作を続けています。(3年目に突入)

「Plasma Rise」は、東京工業大学発ベンチャー企業
株式会社プラズマコンセプト東京とサンラインにより共同開発されたものです。
これまで困難とされていた、「繊維状物質への大気圧低温プラズマ連続処理」を可能とし、既に、世界で初めてナイロンとフロロカーボンの釣り糸への応用、製品化に成功しています。

この技術は、熱劣化させることなく表面のみを改質、変化させることが出来、テニス・ストリングの性能改善にも、新たな可能性が開かれました。

開発は、ポリエステル・ストリングで進めています。

最初にトライしたのは、「表面に摺動性(滑り)もたせる」です。

表面を「ぬるぬる」にも「つるつる」にも出来るとのことで、
シリコンツアーに対し、この加工を施したものから評価を進めました。

シリコンツアーに比べ、遅めのスィングスピードの時での、
ストリング面のたわみ量が増し、打ち出し角度も上がる感じがありましたが、
大きな性能向上という感じはありませんでした。
ストリング表面が滑る分、ストリングが動き易くなり、低速スィングでも
たわむ様になったと思われます。

※「ぬるぬる」と「つるつる」では、「ぬるぬる」の方が早く効果が無くなってしまった為、この後は、「つるつる」のみ試作

シリコンツアーとの加工内容の相性もあり得るので、ストリング側の配合や
延伸倍率を変えたものを数パターン作りました。
(この機会に、カラー赤の色出しも)

「つるつる加工」と「加工無し」では、やはり、たわみ&ホールドの違いを少し感じるものの、大きな差が出ませんでした。

表面を「つるつる」に改質することは、効果はあるのですが、今の段階では、市販にある「ストリング用潤滑剤」をマメに塗ったのと(毎回)、同程度といった感想です。
これでは、せっかくの「プラズマ加工」が・・・・

そこで、次にトライをしたのが、「表面にゴムの様な特殊ポリマー層を形成する」です。

この技術は、フロロカーボン釣り糸※の表面に施した実績があります。岩場などのハードな環境で衝撃を吸収する釣り糸から着想を得てポリエステル・ストリングに応用してみます。
打球衝撃が強いポリエステル・ストリングの振動吸収や、打球感のソフト化を期待してのトライです。

フロロカーボンのプラズマライズ釣り糸「BLACK STREAM」より

特殊ポリマー層が、果たして作用するか?!    開発担当 鐘江